A02: 硫黄還元菌における活性硫黄分子種を介した硫黄の生体膜透過機構

三原 久明 
立命館大学・生命科学部・教授

 硫黄還元細菌は、硫黄の生物地球化学的な循環を通して、地球上の生態系を維持する上で重要な役割を果たしています。硫黄還元細菌は、酸素に乏しい環境下でエネルギーを得るための嫌気的呼吸プロセスとして、酢酸やギ酸などの有機物から取り出した電子を細胞膜上の電子伝達系に流してATPを生産し、最終的に元素状硫黄に電子を渡すことにより生育します。これを「硫黄呼吸」と呼びます。しかし、元素状硫黄がどのような化学種として菌体に取り込まれ、いかにして硫化水素に変換されて硫黄呼吸が成立しているのか?という根源的な問いに対し、未だ答えは示されていません。本研究では、私達が独自に見出した新奇硫黄呼吸システムの解析を突破口として、細胞外からペリプラズムへの硫黄の生体膜透過機構について、活性硫黄分子種の関与の切り口から分子レベルでの解明を目指します。