澤 智裕 熊本大学大学院生命科学研究部微生物学講座・教授
Cysteinyl-tRNA synthetase (CARS)により生成したシステインパースルフィドやシステインポリスルフィドは、その後、グルタチオンやタンパク質等のポリスルフィド体へと変換されて多彩な生理機能を担うと考えられています。この過程では、超硫黄分子のダイナミックな代謝・変換が起こりますが、その分子機構の詳細はわかっていません。非常に興味深いことに、これまでスーパーオキシド等の活性酸素の産生酵素として知られていたNADPHオキシダーゼ(Nox)や一酸化窒素合成酵素(NOS)が、超硫黄分子への電子移動を介して、超硫黄分子の伸長反応を始めとする分子リモデリングに関わることがわかってきました。本研究計画班では、これら酵素持つ硫黄の酸化還元酵素という機能特性から、NADPH:Sulfur
Oxidoreductase (NSOR)として再定義し、その作用機序の解明を目指します。さらに領域内連携を通じて、NSORによるタンパク質品質管理、酸素センシング、血管内皮機能や抗酸化・抗菌活性を検討し、超硫黄分子の真の生理機能解明を目指します。
研究分担者
住本 英樹(九州大学大学院医学研究院生体制御学講座生化学分野・教授)