A02:超硫黄分子をめぐる電子フラックス

潮田 亮           京都産業大学生命科学部/京都産業大学タンパク質動態研究所・准教授

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 小胞体のレドックス環境はサイトゾルと比べて酸化的な環境とされ、酸化反応の場としてこれまで信じられてきました。この酸化的な環境で、私たちは世界で初めて還元酵素として働くERdj5を同定し(Science 2008)、その還元反応がタンパク質品質管理(Mol. Cell 2011)やカルシウムイオン制御(PNAS 2016、Sci. Rep. 2021)など小胞体内腔の恒常性維持に深く関与することを明らかにしてきました。しかし、なぜ酸化的環境とされる小胞体で還元反応が成立するのか全く分かっていません。還元力として必要な電子は、硫黄原子を媒介してリレーし、電子ネットワークを構築しています。超硫黄修飾など、硫黄原子の反応性が変化することで、これまで想定しなかった電子伝達経路が見出されるかもしれません。このことにより、小胞体に新たな反応場が発見され、従来のタンパク質品質管理機構が刷新されることが期待されます。