A03:超硫黄分子が担うシグナル伝達

斎藤 芳郎           東北大学大学院薬学研究科・教授

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 必須微量元素セレンは、硫黄と同じ周期表第16属元素であり、電子軌道が大きく、超硫黄分子と同等の高い反応性を示します。最近、セレンが超硫黄分子と直接相互作用することが分かってきました。本研究課題では、超硫黄分子に対するセレン含有タンパク質の反応性を解析し、細胞内シグナル伝達に対する作用機序を明らかにします。過剰セレンが関与する疾病(糖尿病や血管病変、がんなど)と超硫黄分子との関連性、疾病に関わるシグナル伝達(インスリン刺激・細胞増殖など)の制御機構を解明します。さらに、セレン・硫黄代謝を制御する転写因子NRF2のタンパク質分解制御におけるKEAP1の作用メカニズム(超硫黄化)を明らかにします。以上の研究より、セレン−超硫黄分子−NRF2の生理/病理的意義を統合的に理解し、細胞内シグナル伝達機構の解明に挑戦します。