A02: 超硫黄分子代謝制御におけるグルタチオンペルオキシダーゼ4の機能と疾患への関与

幸村 知子 
北里大学・薬学部・助教

 グルタチオンペルオキシダーゼ4(GPx4)は、活性中心にセレのシステインを有し、硫黄分子グルタチオン(GSH)を還元物質として、リン脂質ヒドロペルオキシドを還元する酵素として知られています。酵素反応のメカニズムとしては超硫黄分子グルタチオンパースルフィド(GSSH)を用いて、GSSSGを合成することが可能です。あるいは、GPx4は細胞内のGSHの酸化還元状態を変化させることで、超硫黄分子の酸化還元状態を変えることができる超硫黄分子代謝制御因子として機能する可能性もあります。本研究では、超硫黄分子制御におけるGPx4の役割と疾患との関連を明らかにすることを目的にして、当研究室で開発したユニークな、タモキシフェン誘導的にGPx4を欠損できる細胞、オルガネラ選択的GPx4の高発現細胞、オルガネラ選択的なGPx4欠損マウスを用いて、特に細胞死と男性不妊症への超硫黄分子の関与について明らかにします。

研究協力者

今井 浩孝(北里大学薬学部衛生化学教室・教授)
安田  柊(北里大学薬学部衛生化学教室・助教)