川鍋 陽
香川大学・医学部・講師
細胞膜のイオン透過を担うタンパク質“イオンチャネル”は、神経・筋肉の電気信号発生・伝播を司る分子基盤であり、創薬の重要なターゲットとなっています。近年の研究で、さまざまなイオンチャネルが超硫黄化により機能制御を受けていることが提案されていますが、分子レベルでの制御機構については不明な点が多いままです。そこで本研究では、イオンチャネルへの超硫黄化による機能修飾の実態を解明することを目指します。具体的には、神経細胞において発火レベルを制御する“M電流”の由来である電位依存性カリウムチャネルKv7.2/Kv7.3をターゲットとし、硫化水素分子を使った超硫黄化による分子機能への影響を主に電気生理学的手法により解析、さらに蛍光変化計測を用いて構造変化への影響も解析します。これらの研究を通して、超硫黄化による生体制御の分子レベルでの仕組みを理解することを目指します。