丸山 明子
九州大学・農学研究院・准教授
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硫黄(S)は全生物の必須元素です。植物は無機Sを有機Sへと同化することで、他生物の生命維持や環境の保全に貢献するとともに、人々の生活に有用な含硫化合物を作り出しています。植物がS不足に晒されると、S同化が促進され、有用含硫化合物の生産が抑制されるとともに、貯蔵Sの再利用が促進されます。これらの応答を司るのがSLIM1転写因子です。SLIM1が属するEIL転写因子は、高等植物には複数存在し、それぞれに機能分化を遂げているのに対して、コケ植物には1〜2種のみ存在します。また、SLIM1が働くためにはタンパク質レベルの調節が働くと考えられますが、その仕組みは分かっていません。本研究では、SLIM1機能の進化とS不足に応じた機能発現の仕組み、および過硫化物が植物の生育促進に果たす役割を明らかにします。
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研究協力者
大津 直子 (東京農工大学大学院農学研究院植物栄養学研究室・教授)
寺本 岳大 (九州大学大学院農学研究院生物物理化学・助教)