三田 雄一郎
同志社大学・生命医科学部・助教
Se運搬タンパク質であるセレノプロテインP(SeP)は、筋肉におけるインスリン抵抗性を誘導することで糖尿病を悪化させる因子です。しかし、SePがインスリン抵抗性を誘導する詳しいメカニズムは、現在まで明らかにされていません。
我々のこれまでの研究の結果、SePは細胞内のグルタチオン(GSH)を増加させますが、インスリン抵抗性にはGSHは関与しないことが明らかになっています。そのため、GSHの前駆体であるCysの増加が、インスリン抵抗性の誘導に関与している可能性があります。それを裏付けるように、細胞内のCysを増加させるN-アセチルシステイン(NAC)によっても、GSH非依存的にインスリン抵抗性を示します。
本研究課題では、細胞内で増加したCysが、インスリンシグナル分子の超硫黄化状態を変化させることでインスリン抵抗性を引き起こすと仮説を立て、その証明を行います。