B01:超硫黄分子に着目したアミノアシルtRNA合成酵素の新規機能の探索

若杉 桂輔 
東京大学・大学院総合文化研究科・教授

 アミノアシルtRNA合成酵素は、蛋白質翻訳系でのコドンテーブルを成立させるうえで要となる酵素であり、アミノ酸をtRNAに結合させるアミノアシル化反応を触媒します。この酵素は、驚いたことに、細胞外に分泌され、様々なムーンライティング機能を有することが最近明らかになってきました。本研究では、超硫黄分子に着目しアミノアシルtRNA合成酵素の新規機能を探索することを目指します。具体的には、システイニルtRNA合成酵素による蛋白質のシステイニル化修飾、また、超硫黄化システインのシステイニル化修飾について解明することを目指します。さらに、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GapDH)のシステイン残基の超硫黄化により制御を受けるアミノアシルtRNA合成酵素の機能解析に挑みます。特に、トリプトファニルtRNA合成酵素とGapDHとの相互作用などを解析し機能制御機構の解明を目指します。