B01:特殊な硫黄間相互作用が要となる新奇チオ硫酸トランスポーターの解析

宮崎 亮次 
奈良先端科学技術大学院大学・先端科学技術研究科・助教

 細菌は環境中の無機硫黄化合物を取り込み、アミノ酸の一種であるシステイン等の有機硫黄化合物に変換・利用し、地球上の硫黄循環の一端を担っています。我々のグループは、膜タンパク質YeeEがチオ硫酸の取り込みに関わることを新たに見出し、X線結晶構造解析によりその立体構造を明らかにしました。その詳細構造より、YeeEは中心部にある保存されたシステイン残基を利用して、チオ硫酸を輸送することを提唱しました。また、YeeEは同時に発現する細胞質タンパク質と協働することも見出しました。このタンパク質はチオ硫酸分解酵素と推測される因子で、その機能には保存されたシステイン残基が必須です。本研究計画では、構造解析等からYeeEを含む複合体や基質との相互作用の詳細を解析し、保存されたシステイン残基とチオ硫酸の硫黄原子間の硫黄特異的な相互作用に由来するチオ硫酸の輸送・分解機構の解明を目的とします。