A01:刺激応答型の超分子カプセル:超硫黄の捕捉・放出システムの開拓

CATTI LORENZO 
東京工業大学・科学技術創成研究院・助教

 現在に、新たに「蛍光分析」により、簡便かつ高感度な超硫黄の検出法を開発します。具体的には、下記の2つの方法を達成します。
① Turn-off 型の蛍光検出:白金イオンを使った超分子カプセルは、疎水性の蛍光色素を内包することで強発光性の超分子カプセルを与えます(図右;M. Yoshizawa et al., J. Am. Chem. Soc. 2015, 137, 9266)。本研究ではこの強発光性カプセルに S8 を添加して「ゲスト交換」することで S8 内包体を得ます。放出された色素は水に不溶なため凝集・沈澱して消光します。
② Turn-on 型の蛍光検出:上記に対して、パラジウムイオンを使った超分子カプセルは、強い重原子効果により内包された色素の発光はクエンチされます。この性質に基づき、親水性の蛍光色素を利用して、予め非発光性の超分子カプセルを用意します。この水溶液に S8 を添加することで、S8 内包体が生成すると共に、放出された色素に由来する蛍光を検出します(図左)。

研究協力者

吉沢 道人 (東京工業大学・教授)