A03: Nox酵素サブユニットp22phoxの超硫黄分子を起点としたレドックス反応の精密制御化

宮野 佳 
川崎医科大学・医学部・講師

 活性酸素生成酵素NADPHオキシダーゼ(Nox)ファミリーは、生体の恒常性に関わるレドックス反応や酸化ストレスを担っています。Noxの生理的機能は多岐にわたり、一例として病原体の殺菌や細胞増殖などに関わっています。また最近私はNoxが消化管上皮細胞や血管内皮細胞の細胞遊走を調節していることを報告しています。細胞遊走は、生理的には創傷治癒などに関わりますが、反面、無秩序な血管新生や上皮がん転移などにも悪用されます。そのためNox活性の厳密な制御が必要であると考えられています。
 Nox活性は、調節サブユニットp22phoxの分解の促進・抑制により制御されます。本研究では、p22phoxの超硫黄分子パターンとp22phox自身の分解の促進・抑制の相関を解明します。p22phoxの超硫黄分子パターンを簡便に検出することができれば、Nox活性依存の病変的酸化ストレスの可視化や、Nox起点のレドックス反応や酸化ストレスの精密制御も可能になると考えています。

研究分担者

尾﨑 充彦(鳥取大学医学部実験病理学分野・准教授)